「もう死にたい…」
その言葉を、15歳の息子の日記で見つけた日のことは、今でも鮮明に覚えています。
朝起きられない。学校に行けない。部屋に引きこもる息子を前に、私は何もできませんでした。スクールカウンセラー、病院、教育相談所…色々なところに相談に行きましたが、状況は良くならない。
夫からは「お前の甘やかしが原因だ」と責められ、学校からは「親の責任」と暗に非難され、追い詰められていく毎日。心療内科で処方された睡眠薬が、私の唯一の救いでした。
そんなある日、地域の親の会でTherActionのチラシを見つけました。「過去の痛みは、必ず誰かを救う力になる」というフレーズが、疲れ切った私の心に染みました。
初回相談で堂本さんにお会いした時、3時間近く話し続けてしまいました。息子のこと、夫婦関係のこと、自分の親との関係のこと…。不思議なことに、堂本さんは一切アドバイスをしようとせず、ただ静かに聴いてくださる。
そして最後に、こう言われたのです。
「栗原さん、あなたは『不登校=解決すべき問題』と捉えすぎているのかもしれません。それは新しい教育のあり方を模索するチャンスかもしれない。あなたの悩みや気づきは、同じように苦しむ親子を救う可能性を秘めているんです」
その言葉が、凍りついていた私の心を溶かしていきました。
TherActionでの学びは、私の視点を大きく変えました。
まず、自分の「普通」という価値観を見つめ直すことから始まり、子どもの行動の意味を理解することを学びました。そして何より、自分の経験を活かして誰かの力になれる可能性があると気づかされたのです。
心理学の勉強を始めたのは48歳。通信制の学校に通いながら、少しずつ見えてきたのは「学校」という枠組みにとらわれない、新しい学びの場の必要性でした。
そして1年の準備期間を経て、自宅の一室からスタートしたのが「まなびの森」です。不登校の子どもたちが、自分のペースで学べる場所。午前中は個別学習、午後は創作活動やお菓子作りなど、一人一人の興味に合わせたプログラムを組んでいます。
最初は3名だった子どもたちも、今では15名に。中には、引きこもり期間が5年以上という若者もいます。うれしいことに、ここから次のステップに進む子も増えてきました。専門学校に進学した子、起業した子、パン職人になった子…。「普通」とは違う道でも、確かな明日へとつながっているのを見るのが何よりの喜びです。
息子は今、プログラミングの勉強をしています。毎日コツコツとコードを書き、時々「ママ、見て!」と新しいプログラムを見せてくれます。TherActionを始める前には想像もできなかった、穏やかな日常です。
この春からは、不登校や引きこもりの経験がある若者たちの就労支援も始めました。週2日から始められるインターン制度を用意し、「自分のペース」を大切にしながら、少しずつ社会との接点を増やしていけるプログラムです。
これまでの実績:
- のべ45名の子どもたちが学びの場として活用
- 32名が次のステップ(進学・就職)へ
- 7名が正社員として就職
- 3名が起業・フリーランスとして活動開始
でも、数字以上に大切なのは、子どもたちの「笑顔」が戻ってきたこと。親として、そして教育者として、何より嬉しい瞬間です。
堂本さんの「過去の痛みは、誰かを救う力になる」という言葉の意味を、今なら本当に理解できます。不登校も、心の苦しみも、それは新しい可能性への入り口だったのかもしれません。
堂本晃聖からのメッセージ
栗原さんの取り組みには、深い共感を覚えます。
私自身、児童養護施設で過ごした経験から、「普通」や「当たり前」という価値観に苦しめられた記憶があります。その中で、一人一人の子どもに寄り添い、新しい可能性を見出そうとする栗原さんの姿勢は、まさに今の教育に必要な光だと感じています。
特に印象的なのは、ご自身の痛みの経験を、社会を変える力に変えられたこと。一人の母親の気づきが、今では多くの子どもたちと家族を救う灯りとなっている。それは、私がTherActionで目指している「過去を力に変える」という理念そのものです。
これからの時代、「まなびの森」のような場所がもっと必要とされるはずです。栗原さんの取り組みが、教育の新しいスタンダードとなっていくことを、心から期待しています。
【無料相談受付中】 あなたの経験にも、必ず新しい意味があります。悩みを抱えているからこそ、誰かを助ける力が眠っているのかもしれません。その可能性を、TherActionで一緒に見つけてみませんか?