血と涙の「疑信一体」実践録:廃業寸前のチラシ屋が90日で倍増売上を掴むまで

「もう終わりだ…」

事務所の机に突っ伏し、ため息をついた榎本社長の目は虚ろだった。チラシ制作会社「ワールドデザイン」は、創業15年目にして最大の危機を迎えていた。コロナ禍で売上は半減し、銀行口座には支払いに足りない70万円しか残っていなかった。

私が榎本社長と出会ったのはそんなどん底の時だった。

この記事では、「疑信一体」メソッドを使って実際にV字回復を果たした企業の詳細な実践記録を公開する。あなたの会社でも明日から使える具体的な手法とプロセスをお伝えしよう。

目次

1. 危機的状況の全容:数字で見る崩壊寸前の会社

まずは榎本社長の会社の実態を数字で見てみよう。

  • 業種: チラシ・販促物制作
  • 従業員: 5名(社長、デザイナー2名、営業1名、経理1名)
  • 売上推移:
    • コロナ前: 月平均560万円
    • コロナ直後: 月平均280万円(▲50%)
    • 相談時: 月平均210万円(▲62%)
  • 利益率: 14%→5%に悪化
  • キャッシュポジション: 70万円(翌月支払い予定105万円)
  • 主要顧客: 地元中小企業、特に飲食・小売・サービス業
  • 営業パイプライン: 新規商談ゼロ

最大の問題は「固定費カットだけでは追いつかない売上減少」と「新規開拓力の枯渇」。このままでは3ヶ月以内の廃業が確実な状況だった。

2. 「疑信一体」分析:問題の本質はどこにあったのか

私が最初に榎本社長に提案したのは「盲信リスト」の作成だった。経営者が無意識に信じている思い込みを書き出し、データで検証する作業だ。

【実際に作成した盲信リスト(抜粋)】

榎本社長の思い込み検証結果真実
「チラシ需要は減少している」コロナ前後の業界データ分析特定業種(スーパー、薬局、宅配など)ではむしろ増加
「価格競争に勝てない」顧客アンケート実施重視点は「価格」より「納期」「デザイン品質」
「SNS時代にチラシは時代遅れ」マーケティングデータ検証紙媒体の反応率はまだ高く、特に50代以上には効果大
「赤字営業を減らすしかない」コスト構造分析単価とサービス内容の不一致。利益率改善余地あり
「社員はもう限界」1on1ヒアリング実施実は「このままじゃダメ」と変化を求めていた

この盲信リスト分析で明らかになったのは「経営者の思い込みと市場実態のズレ」だった。特に重要だったのは「チラシ需要は確実に存在する」という事実の確認だ。

3. 「疑信会議」の実践:90日間の再生プロセス

次に私たちが取り組んだのは定期的な「疑信会議」の実施だ。毎週月曜の午前中、以下の形式で行った。

【疑信会議の具体的なフォーマット】

参加者: 榎本社長、全社員、私(ファシリテーター) 所要時間: 60分 議題と時間配分:

  1. 数値確認(10分): 売上、粗利、商談数など
  2. リスク検証(20分): 想定外の問題、懸念点の洗い出し
  3. コア価値確認(10分): 自社の強みと提供価値の再確認
  4. アクションプラン(20分): 今週のアクション決定

【90日間のマイルストーン】

第1フェーズ(1-30日目): 緊急対応期

  • 直接的な売上確保のための行動計画
  • 経営者自らの飛び込み営業(1日5件)
  • 既存顧客への緊急提案(全33社訪問)
  • コスト削減施策の実施

第2フェーズ(31-60日目): 収益構造改革期

  • 商品・サービス体系の再構築
  • 価格設定の見直しと適正化
  • 「小さく試す」新サービステスト
  • 「撤退ライン」の明確化

第3フェーズ(61-90日目): 成長基盤構築期

  • 成功パターンの検証と拡大
  • 組織体制の再構築
  • 継続的な改善サイクルの確立
  • 数値管理システムの導入

4. 「小さく試す」実践例:リスクを抑えた新規開拓

経営危機の中で大きな賭けは避けたい。そこで「小さく試す」戦略を実行した。

【実際に行った「小さく試す」施策の例】

①「地域限定チラシパック」テスト

  • 概要: 特定エリア(半径500m)限定の低価格チラシ制作・配布パック
  • 検証方法: まず3社限定で提供し反響測定
  • 投資: 営業時間20時間、サンプル制作費3万円
  • 結果: 3社中2社が継続契約、ROI 200%

②「デザインリニューアル無料診断」

  • 概要: 既存チラシの無料デザイン診断・改善提案サービス
  • 検証方法: 既存顧客10社に提案
  • 投資: デザイナー時間15時間
  • 結果: 7社が有料デザインリニューアルを発注、約80万円の追加売上

③「オンライン+紙媒体連動パック」

  • 概要: チラシとSNS投稿用画像をセットにした新サービス
  • 検証方法: 既存顧客から5社選定しテスト提供
  • 投資: 新フォーマット開発15時間
  • 結果: 全5社契約、平均単価1.4倍に向上

これらの「小さく試す」施策はすべて「撤退ライン」を設定していた。例えば「3社提案して全社断られたら別アプローチに切り替え」など明確な基準を設け、感情に流されない判断ができるようにした。

5. 数字で見る「疑信一体」90日間の変化

「疑信一体」実践の結果、具体的な数値はどう変化したのか。

売上推移:

  • 導入前: 月平均210万円
  • 30日後: 月265万円(+26%)
  • 60日後: 月340万円(+62%)
  • 90日後: 月430万円(+105%)

粗利率:

  • 導入前: 5%
  • 90日後: 19% (+14ポイント)

顧客数:

  • 導入前: 月平均新規2社
  • 90日後: 月平均新規9社

キャッシュポジション:

  • 導入前: 70万円
  • 90日後: 310万円

営業案件数:

  • 導入前: パイプラインゼロ
  • 90日後: 常時15件の進行中商談

社員定着率:

  • 90日間の退職者: ゼロ
  • 社員満足度: 5段階中2.1→4.3に向上

6. 「疑信一体」実践中の具体的な困難と乗り越え方

【困難①: 社長自ら営業することへの抵抗】

問題: 榎本社長は「経営者が営業するのは格好悪い」という思い込みがあった

対応:

  1. 「現状維持」と「経営者営業」の2つのシナリオを数値で比較
  2. 成功している経営者の「現場営業事例」を共有
  3. 最初の1週間は私が同行し、実際のアプローチをサポート

結果: 3週間目には営業への抵抗感が薄れ、むしろ顧客の生の声を聞く楽しさを実感

【困難②: デザイナーの消極的態度】

問題: 長年の「言われた通りに作る」文化から、提案する姿勢が育っていなかった

対応:

  1. 「デザイナー視点の提案会議」を週1回開催
  2. 顧客からの良いフィードバックを即時全社共有
  3. 提案が採用された場合のインセンティブ制度導入

結果: 2ヵ月目には自主的な提案が増加し、顧客満足度の向上に貢献

【困難③: 資金繰りの危機(45日目)】

問題: 改善途上で大口取引先からの入金遅延が発生

対応:

  1. 「緊急キャッシュフロー会議」を開催
  2. 全社員で「明日から実行する節約リスト」を作成
  3. 入金条件の見直しと前受金システムの導入

結果: 危機を乗り越えると同時に、より堅固な資金管理体制が確立された

7. 「疑信一体」の効果を持続させる仕組みづくり

V字回復後も効果を持続させるには、一時的な取り組みではなく「仕組み化」が必要だ。

【実際に導入した仕組み】

①「学習履歴」システム

  • 毎週金曜に「失敗と成功からの学び」を記録
  • クラウド上で全社共有
  • 3ヶ月に一度「学びの棚卸し会議」を実施

②「継続的疑信会議」

  • 初期は週1回→安定後は月2回に調整
  • 社員持ち回りでファシリテーターを担当
  • アジェンダと決定事項を必ず文書化

③「撤退ライン定期見直し」

  • 四半期ごとに全プロジェクトの撤退ラインを再設定
  • 感情論ではなくデータに基づく判断
  • 「続けるべきか、止めるべきか」の判断基準を明確化

8. 「疑信一体」を明日から実践する具体的ステップ

あなたも自社で「疑信一体」を実践したいなら、以下の5ステップから始めよう。

【ステップ1: 盲信リストを作成する】

具体的な手順:

  1. A4用紙を用意し、「私が無意識に信じていること」を箇条書き
  2. 各項目に「この信念の根拠は何か?」と問いかける
  3. データや事実で検証できるものを優先的に洗い出す

ポイント: 一人で行うと盲点が残るので、信頼できる社員や外部の目を入れること

【ステップ2: コア価値を再定義する】

具体的な手順:

  1. 「うちの会社の本当の強みは何か?」を全員で議論
  2. 「お客様が当社を選ぶ本当の理由」をリスト化
  3. 3つ以内に絞り込み、具体的な言葉で表現

ポイント: 抽象的な美辞麗句ではなく、具体的で検証可能な表現に

【ステップ3: 最初の疑信会議を開催する】

必要なもの:

  • 会議室またはオンライン会議ツール
  • 売上・利益などの基本データ
  • ホワイトボードまたは共有画面
  • 参加者の心理的安全性(批判を恐れない雰囲気)

アジェンダ例:

  1. 現状数値確認(15分)
  2. リスク洗い出し(20分)
  3. コア価値確認(10分)
  4. 次週アクション決定(15分)

【ステップ4: 「小さく試す」施策を1つ決める】

選定基準:

  • 実施コストが月商の1%以下
  • 1-2週間で結果が出るもの
  • 成功基準と撤退ラインが明確なもの

実行ポイント:

  • 必ず数値結果を記録する
  • 成功/失敗両方の要因を分析する
  • 次の「小さく試す」につなげる

【ステップ5: 撤退ラインを設定する】

具体的な設定例:

  • 「新サービスが1ヶ月で5件未満なら中止」
  • 「営業活動で20社訪問して反応ゼロなら方法変更」
  • 「投資した金額の70%を3ヶ月で回収できなければ撤退」

ポイント: 感情に流されないよう、事前に明文化して全員が共有すること

9. 榎本社長からのメッセージ

90日間の「疑信一体」実践を終えた榎本社長は、こう語る。

「堂本さんの『疑信一体』は、精神論や抽象的なアドバイスではなく、具体的な手法と判断基準を教えてくれました。最初は『社長が営業』『毎週の疑信会議』など面倒に感じたこともありましたが、プロセスをきちんと踏むことで確実に成果に結びついていきました。

特に良かったのは『小さく試して、ダメなら撤退する』という考え方です。以前の私なら『せっかく始めたのだから』と感情で判断していましたが、今は数字で冷静に判断できるようになりました。

おかげで会社は危機を脱し、むしろコロナ前より強い体質になりました。何より社員全員が『自分たちで会社を変えられる』という自信を持てたことが大きな財産です。」

10. まとめ: あなたの会社でも明日から始められること

「疑信一体」は特別な才能や知識がなくても、以下の3つの原則を守れば誰でも実践できる。

  1. データで疑う: 思い込みを数字で検証する習慣をつける
  2. 小さく試す: 大きな賭けではなく、小さな検証の積み重ねで前進する
  3. 撤退を恐れない: 失敗を学びに変え、すばやく方向転換する勇気を持つ

25年以上、2万人を超える経営者と向き合ってきた経験から断言できる。「再起は、正しい方法論があれば誰にでも可能だ」と。

私がこれまで支援してきた企業の多くは、大規模な投資や劇的な戦略転換ではなく、「正しいプロセス」と「地道な実践」で再生を果たしてきた。

榎本社長の事例が示すように、「疑信一体」は単なる理論ではなく、危機的状況でこそ効果を発揮する実践的メソッドだ。

どん底にいるあなたへ。

まずは「盲信リスト」を書き出すところから始めよう。そして、勇気を出して「疑信会議」を開いてみよう。きっと、新たな可能性が見えてくるはずだ。

再起の道のりは決して楽ではないが、正しい方法で一歩ずつ進めば、必ず光は見えてくる。


堂本晃聖
「疑信一体」創始者・経営再生コンサルタント

【無料相談受付中】 あなたの会社の状況をお聞かせください。「疑信一体」の導入方法や、あなたの会社に合った再生プランをご提案します。 お問い合わせは公式サイトから。

「もう終わりだ…」

事務所の机に突っ伏し、ため息をついた榎本社長の目は虚ろだった。チラシ制作会社「ワールドデザイン」は、創業15年目にして最大の危機を迎えていた。コロナ禍で売上は半減し、銀行口座には支払いに足りない70万円しか残っていなかった。

私が榎本社長と出会ったのはそんなどん底の時だった。

この記事では、「疑信一体」メソッドを使って実際にV字回復を果たした企業の詳細な実践記録を公開する。あなたの会社でも明日から使える具体的な手法とプロセスをお伝えしよう。

1. 危機的状況の全容:数字で見る崩壊寸前の会社

まずは榎本社長の会社の実態を数字で見てみよう。

  • 業種: チラシ・販促物制作
  • 従業員: 5名(社長、デザイナー2名、営業1名、経理1名)
  • 売上推移:
    • コロナ前: 月平均560万円
    • コロナ直後: 月平均280万円(▲50%)
    • 相談時: 月平均210万円(▲62%)
  • 利益率: 14%→5%に悪化
  • キャッシュポジション: 70万円(翌月支払い予定105万円)
  • 主要顧客: 地元中小企業、特に飲食・小売・サービス業
  • 営業パイプライン: 新規商談ゼロ

最大の問題は「固定費カットだけでは追いつかない売上減少」と「新規開拓力の枯渇」。このままでは3ヶ月以内の廃業が確実な状況だった。

2. 「疑信一体」分析:問題の本質はどこにあったのか

私が最初に榎本社長に提案したのは「盲信リスト」の作成だった。経営者が無意識に信じている思い込みを書き出し、データで検証する作業だ。

【実際に作成した盲信リスト(抜粋)】

榎本社長の思い込み検証結果真実
「チラシ需要は減少している」コロナ前後の業界データ分析特定業種(スーパー、薬局、宅配など)ではむしろ増加
「価格競争に勝てない」顧客アンケート実施重視点は「価格」より「納期」「デザイン品質」
「SNS時代にチラシは時代遅れ」マーケティングデータ検証紙媒体の反応率はまだ高く、特に50代以上には効果大
「赤字営業を減らすしかない」コスト構造分析単価とサービス内容の不一致。利益率改善余地あり
「社員はもう限界」1on1ヒアリング実施実は「このままじゃダメ」と変化を求めていた

この盲信リスト分析で明らかになったのは「経営者の思い込みと市場実態のズレ」だった。特に重要だったのは「チラシ需要は確実に存在する」という事実の確認だ。

3. 「疑信会議」の実践:90日間の再生プロセス

次に私たちが取り組んだのは定期的な「疑信会議」の実施だ。毎週月曜の午前中、以下の形式で行った。

【疑信会議の具体的なフォーマット】

参加者: 榎本社長、全社員、私(ファシリテーター) 所要時間: 60分 議題と時間配分:

  1. 数値確認(10分): 売上、粗利、商談数など
  2. リスク検証(20分): 想定外の問題、懸念点の洗い出し
  3. コア価値確認(10分): 自社の強みと提供価値の再確認
  4. アクションプラン(20分): 今週のアクション決定

【90日間のマイルストーン】

第1フェーズ(1-30日目): 緊急対応期

  • 直接的な売上確保のための行動計画
  • 経営者自らの飛び込み営業(1日5件)
  • 既存顧客への緊急提案(全33社訪問)
  • コスト削減施策の実施

第2フェーズ(31-60日目): 収益構造改革期

  • 商品・サービス体系の再構築
  • 価格設定の見直しと適正化
  • 「小さく試す」新サービステスト
  • 「撤退ライン」の明確化

第3フェーズ(61-90日目): 成長基盤構築期

  • 成功パターンの検証と拡大
  • 組織体制の再構築
  • 継続的な改善サイクルの確立
  • 数値管理システムの導入

4. 「小さく試す」実践例:リスクを抑えた新規開拓

経営危機の中で大きな賭けは避けたい。そこで「小さく試す」戦略を実行した。

【実際に行った「小さく試す」施策の例】

①「地域限定チラシパック」テスト

  • 概要: 特定エリア(半径500m)限定の低価格チラシ制作・配布パック
  • 検証方法: まず3社限定で提供し反響測定
  • 投資: 営業時間20時間、サンプル制作費3万円
  • 結果: 3社中2社が継続契約、ROI 200%

②「デザインリニューアル無料診断」

  • 概要: 既存チラシの無料デザイン診断・改善提案サービス
  • 検証方法: 既存顧客10社に提案
  • 投資: デザイナー時間15時間
  • 結果: 7社が有料デザインリニューアルを発注、約80万円の追加売上

③「オンライン+紙媒体連動パック」

  • 概要: チラシとSNS投稿用画像をセットにした新サービス
  • 検証方法: 既存顧客から5社選定しテスト提供
  • 投資: 新フォーマット開発15時間
  • 結果: 全5社契約、平均単価1.4倍に向上

これらの「小さく試す」施策はすべて「撤退ライン」を設定していた。例えば「3社提案して全社断られたら別アプローチに切り替え」など明確な基準を設け、感情に流されない判断ができるようにした。

5. 数字で見る「疑信一体」90日間の変化

「疑信一体」実践の結果、具体的な数値はどう変化したのか。

売上推移:

  • 導入前: 月平均210万円
  • 30日後: 月265万円(+26%)
  • 60日後: 月340万円(+62%)
  • 90日後: 月430万円(+105%)

粗利率:

  • 導入前: 5%
  • 90日後: 19% (+14ポイント)

顧客数:

  • 導入前: 月平均新規2社
  • 90日後: 月平均新規9社

キャッシュポジション:

  • 導入前: 70万円
  • 90日後: 310万円

営業案件数:

  • 導入前: パイプラインゼロ
  • 90日後: 常時15件の進行中商談

社員定着率:

  • 90日間の退職者: ゼロ
  • 社員満足度: 5段階中2.1→4.3に向上

6. 「疑信一体」実践中の具体的な困難と乗り越え方

【困難①: 社長自ら営業することへの抵抗】

問題: 榎本社長は「経営者が営業するのは格好悪い」という思い込みがあった

対応:

  1. 「現状維持」と「経営者営業」の2つのシナリオを数値で比較
  2. 成功している経営者の「現場営業事例」を共有
  3. 最初の1週間は私が同行し、実際のアプローチをサポート

結果: 3週間目には営業への抵抗感が薄れ、むしろ顧客の生の声を聞く楽しさを実感

【困難②: デザイナーの消極的態度】

問題: 長年の「言われた通りに作る」文化から、提案する姿勢が育っていなかった

対応:

  1. 「デザイナー視点の提案会議」を週1回開催
  2. 顧客からの良いフィードバックを即時全社共有
  3. 提案が採用された場合のインセンティブ制度導入

結果: 2ヵ月目には自主的な提案が増加し、顧客満足度の向上に貢献

【困難③: 資金繰りの危機(45日目)】

問題: 改善途上で大口取引先からの入金遅延が発生

対応:

  1. 「緊急キャッシュフロー会議」を開催
  2. 全社員で「明日から実行する節約リスト」を作成
  3. 入金条件の見直しと前受金システムの導入

結果: 危機を乗り越えると同時に、より堅固な資金管理体制が確立された

7. 「疑信一体」の効果を持続させる仕組みづくり

V字回復後も効果を持続させるには、一時的な取り組みではなく「仕組み化」が必要だ。

【実際に導入した仕組み】

①「学習履歴」システム

  • 毎週金曜に「失敗と成功からの学び」を記録
  • クラウド上で全社共有
  • 3ヶ月に一度「学びの棚卸し会議」を実施

②「継続的疑信会議」

  • 初期は週1回→安定後は月2回に調整
  • 社員持ち回りでファシリテーターを担当
  • アジェンダと決定事項を必ず文書化

③「撤退ライン定期見直し」

  • 四半期ごとに全プロジェクトの撤退ラインを再設定
  • 感情論ではなくデータに基づく判断
  • 「続けるべきか、止めるべきか」の判断基準を明確化

8. 「疑信一体」を明日から実践する具体的ステップ

あなたも自社で「疑信一体」を実践したいなら、以下の5ステップから始めよう。

【ステップ1: 盲信リストを作成する】

具体的な手順:

  1. A4用紙を用意し、「私が無意識に信じていること」を箇条書き
  2. 各項目に「この信念の根拠は何か?」と問いかける
  3. データや事実で検証できるものを優先的に洗い出す

ポイント: 一人で行うと盲点が残るので、信頼できる社員や外部の目を入れること

【ステップ2: コア価値を再定義する】

具体的な手順:

  1. 「うちの会社の本当の強みは何か?」を全員で議論
  2. 「お客様が当社を選ぶ本当の理由」をリスト化
  3. 3つ以内に絞り込み、具体的な言葉で表現

ポイント: 抽象的な美辞麗句ではなく、具体的で検証可能な表現に

【ステップ3: 最初の疑信会議を開催する】

必要なもの:

  • 会議室またはオンライン会議ツール
  • 売上・利益などの基本データ
  • ホワイトボードまたは共有画面
  • 参加者の心理的安全性(批判を恐れない雰囲気)

アジェンダ例:

  1. 現状数値確認(15分)
  2. リスク洗い出し(20分)
  3. コア価値確認(10分)
  4. 次週アクション決定(15分)

【ステップ4: 「小さく試す」施策を1つ決める】

選定基準:

  • 実施コストが月商の1%以下
  • 1-2週間で結果が出るもの
  • 成功基準と撤退ラインが明確なもの

実行ポイント:

  • 必ず数値結果を記録する
  • 成功/失敗両方の要因を分析する
  • 次の「小さく試す」につなげる

【ステップ5: 撤退ラインを設定する】

具体的な設定例:

  • 「新サービスが1ヶ月で5件未満なら中止」
  • 「営業活動で20社訪問して反応ゼロなら方法変更」
  • 「投資した金額の70%を3ヶ月で回収できなければ撤退」

ポイント: 感情に流されないよう、事前に明文化して全員が共有すること

9. 榎本社長からのメッセージ

90日間の「疑信一体」実践を終えた榎本社長は、こう語る。

「堂本さんの『疑信一体』は、精神論や抽象的なアドバイスではなく、具体的な手法と判断基準を教えてくれました。最初は『社長が営業』『毎週の疑信会議』など面倒に感じたこともありましたが、プロセスをきちんと踏むことで確実に成果に結びついていきました。

特に良かったのは『小さく試して、ダメなら撤退する』という考え方です。以前の私なら『せっかく始めたのだから』と感情で判断していましたが、今は数字で冷静に判断できるようになりました。

おかげで会社は危機を脱し、むしろコロナ前より強い体質になりました。何より社員全員が『自分たちで会社を変えられる』という自信を持てたことが大きな財産です。」

10. まとめ: あなたの会社でも明日から始められること

「疑信一体」は特別な才能や知識がなくても、以下の3つの原則を守れば誰でも実践できる。

  1. データで疑う: 思い込みを数字で検証する習慣をつける
  2. 小さく試す: 大きな賭けではなく、小さな検証の積み重ねで前進する
  3. 撤退を恐れない: 失敗を学びに変え、すばやく方向転換する勇気を持つ

25年以上、2万人を超える経営者と向き合ってきた経験から断言できる。「再起は、正しい方法論があれば誰にでも可能だ」と。

私がこれまで支援してきた企業の多くは、大規模な投資や劇的な戦略転換ではなく、「正しいプロセス」と「地道な実践」で再生を果たしてきた。

榎本社長の事例が示すように、「疑信一体」は単なる理論ではなく、危機的状況でこそ効果を発揮する実践的メソッドだ。

どん底にいるあなたへ。

まずは「盲信リスト」を書き出すところから始めよう。そして、勇気を出して「疑信会議」を開いてみよう。きっと、新たな可能性が見えてくるはずだ。

再起の道のりは決して楽ではないが、正しい方法で一歩ずつ進めば、必ず光は見えてくる。


堂本晃聖
「疑信一体」創始者・経営再生コンサルタント

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