失敗から学んだ”リスク管理”——社長・起業家必見の実体験
「おかしいな」
そう感じた時には、すでに手遅れでした。
6カ国で200億円規模のビジネスを展開していた私のグループ企業。順調すぎるほどの成長に、誰もが酔いしれていました。
「こんな順調なビジネスに、まさか何かあるはずがない」
その慢心が、すべての終わりの始まりでした。
崩壊の予兆
ある日、取引先から一通のメールが届きました。
「貴社から購入した商品に、偽造品が混ざっていた可能性があります」
最初は単なる誤報だと思いました。
うちの会社が、そんなことするはずがない。
私はそう信じていました。
でも、調査を進めるうちに、恐ろしい事実が次々と明らかになっていきます。
中国人スタッフの一部が、私の目を盗んで偽造品を扱っていた。
しかも、それは一回や二回の問題ではありませんでした。
「なぜ気づかなかったんだ」
後から思えば、たくさんの警告サインがありました。
異常に高い利益率。
不自然な売上の伸び。
現場からの微妙な違和感。
でも、私はそのすべてを「成功の証」として解釈していたんです。
破滅への連鎖
事実が表面化すると、事態は雪崩のように悪化していきました。
大手ゲームメーカーからの提訴。
3,000万ドル(約30億円)の罰金。
民事賠償を含めると、総額50億円の支払い。
そして最後の引導を渡すように、オンラインプラットフォームからの永久追放。
たった数週間で、6カ国のビジネスが、跡形もなく崩れ去りました。
深い後悔と気づき
連日のミーティング。
弁護士との相談。
取引先への謝罪。
その合間に、私は考えていました。
「なぜ、こうなったのか」
答えは、意外にもシンプルでした。
私は「成功」という麻薬に中毒していたんです。
売上が伸びること。
利益が上がること。
それだけが、私の関心事でした。
現場で何が起きているのか。
スタッフは何を考えているのか。
お客様は本当に満足しているのか。
そういった本質的な問いを、私は完全に忘れていました。
破綻から学んだこと
経営者として最も大切なことは、意外にもシンプルです。
「現場を知ること」
「従業員の声を聞くこと」
「違和感を無視しないこと」
当たり前のことですよね。
でも、成功すればするほど、この当たり前が見えなくなっていくんです。
今、私は新しいビジネスでこう心がけています。
毎週必ず現場を歩くこと。
従業員と直接対話する時間を作ること。
売上や利益以外の指標にも目を配ること。
なぜ、この話をするのか
「まさか、うちの会社では」
多くの経営者が、そう思っているはずです。
私もそうでした。
でも、ビジネスの世界で「まさか」は、いつでも起こりうるんです。
むしろ、「起こるかもしれない」と思っている方が、健全です。
具体的な予防策
今、私が新しいビジネスで実践していることをお伝えします。
朝は必ず現場を歩きます。
従業員の表情、オフィスの空気、何か違和感はないか。
週に一度は、幹部以外のスタッフとランチミーティング。
愚痴でも不満でも、なんでも話してもらいます。
月一回は、全てのデータを自分の目でチェック。
数字の裏に隠れた真実を読み取る習慣をつけています。
最後に:すべての経営者へ
失敗は怖くありません。
怖いのは、失敗から学ばないことです。
私は50億円の負債を背負い、すべてを失いました。
でも、その経験が今、誰かの役に立つなら。
それは、決して無駄ではなかったはずです。
より具体的なサポートを
このような経験から、私たちTherActionでは経営者向けの支援を行っています。
リスク管理の視点から、
メンタルケアの側面から、
実践的なアドバイスを提供させていただきます。
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明日は「経営者のメンタルケア」について、より詳しくお伝えします。