街が、記憶を喰らう怪物だとしたら、君はどうする?
今日のクライアント先は、欲望渦巻く名駅そばの繁華街のど真ん中。
いつものコインパーキングに車を滑り込ませ、エンジンを切る。
すると、いつもと何かが違う。
視界の端に、違和感がへばりついている。
よく見れば、パーキングの前にあったビルが、跡形もなく消え失せているのだ。
まるで、巨大な消しゴムでゴシゴシと消されたかのように。
問題は、そのビルに何が入っていたのか、全く思い出せないことだ。
記憶の底を必死に探っても、何も出てこない。
そこは深い闇、宇宙の虚無。
まるでブラックホールに吸い込まれた星のように、記憶は跡形もなく消えてしまっている。
俺はボケ始めたのか?
いや、そんなはずはない。
俺は竜馬だ。経営歴33年、売上もコンサル1ヶ月目で前月比1.5倍。
そんな俺が、ただのビルに入ったテナントを忘れるはずがないww
だが、現実は非情だ。
記憶は、砂漠に降る雨のように、瞬く間に消えてしまう。
クライアントとの打ち合わせを終え、帰路につく。
いつもの交差点を曲がると、今度はさらに衝撃的な光景が目に飛び込んできた。
そこには、巨大な更地が広がっている。以前は、立派なビルが建っていたはずなのに。
まるで、街全体が巨大なパックマンになって、ビルを次々と食べ尽くしているかのようだ。
そして、食べられたビルは、人々の記憶からも消えてしまう。
俺は、冷や汗をかきながらアクセルを踏んだ。
街が、記憶を喰らう怪物だとしたら、俺は一体どうすればいい?
「自分の店のラーメンは、一度食べたら忘れられない!」
そんな風に豪語する店主は多い。
だが、客の記憶は、宇宙空間に漂う宇宙食のように、すぐに消費期限切れになってしまうのだ。
だから、俺は常に進化し続ける。
変化を恐れず、新しい価値を創造し続ける。
まるで、街を喰らう怪物から逃げるように…