「どうせ、施設育ちやろ」
その言葉に、俺は何度、拳を振り上げただろう。
でも、本当は分かっていた。暴力を振るえば振るうほど、ますます孤独になっていくことを。
15歳の頃は、毎晩のように警察のお世話になっていました。
万引き、暴行、バイクの窃盗…。やりたい放題やって、「どうせ俺なんか」って自暴自棄になって。
施設の先生たちは、必死で俺を止めようとしてくれました。
でも、その優しさが逆に腹が立って。「偽善者」って罵って、施設を飛び出す日々。
気づけば、俺の周りには同じような境遇の仲間しかいなくなっていました。
でも、その仲間たちも、次々と補導されたり、少年院に入ったり…。
そんなある日、施設の先生から一枚の名刺を渡されました。
「この人なら、君の気持ちが分かるかもしれない」
TherActionの堂本さんとの出会いは、こんな形でした。
正直、最初は舐めてかかりました。どうせまた説教か、上から目線の助言か、って。
でも、堂本さんの第一声は意外なものでした。
「俺も施設育ちやで」
古びた事務所の簡易ベッドに座りながら、堂本さんは淡々と語り始めました。
施設での孤独、非行に走った日々、やがて関わった裏社会のこと。
そして、何度も這い上がってきた経験を。
「なぁ、お前、なんで暴力振るうん?」
その質問に、咄嗟に反論しようとした俺を、堂本さんはじっと見つめ返しました。
「俺な、暴力振るうたびに、どんどん自分が嫌いになっていってん。でも、それ以上に、誰かに俺の痛みを分かってほしかってん」
その言葉に、何かが崩れ落ちる感覚がありました。
どうして分かるんだろう。俺の心の奥底を、誰も触れたことのない場所を、この人は覗き込んでいる。
「お前な、その痛みを知ってるからこそ、できることがあるんやで」
意味も分からず涙が溢れました。
それから3年。
今、俺は児童養護施設を回って、キャリア教育のワークショップを実施しています。
NPOを立ち上げ、同じ境遇の若者たちと、将来の夢や仕事について語り合う場を作っています。
「浅野さん、俺もさ、働けるかな…」
そう不安そうに尋ねてくる施設の子どもたち。その目を見るたび、かつての自分を思い出します。
「大丈夫、お前には無限の可能性があるんだ」
堂本さんが俺にそうしてくれたように、今度は俺が彼らの痛みに寄り添います。
先日、あるワークショップの後、16歳の少年が打ち明けてくれました。
「浅野さんみたいな人がいるって知れて、すっげぇ嬉しかった」
その言葉が、俺の生きる証になっています。
施設育ち。非行歴。
かつては重荷だったそれらが、今は俺の武器になっている。
若者たちに希望を届けるための、かけがえのない経験として。
***
あなたも、過去に囚われていませんか?
その経験は、必ず誰かの光になれる。
私たちは、そう信じています。
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