今日は、創業70年の老舗企業の跡取り息子として、重圧に苦しんでいた中村さん(35歳・男性/仮名)が、自分らしい経営の形を見出すまでの物語をお伝えします。
最初の相談
「父の背中が、重すぎるんです…」
中村さんが初めて相談に来られた時、その姿勢は妙に硬く、肩に見えない重荷を背負っているようでした。私はその姿に、かつての自分を見ました。
2008年、私が経営していた会社が200億円規模まで成長した時のこと。毎晩、決算書と売上予測とにらめっこしながら、胃が締め付けられるような思いをしていました。従業員の給料、取引先との約束、銀行への返済…。すべての重圧が、私一人にのしかかってくる。
経営者の孤独は、経験した者にしかわからないものです。だからこそ、中村さんの「重すぎる」という言葉の重みが、痛いほど伝わってきました。
深刻化する悩み
相談を重ねる中で、中村さんの抱える問題が見えてきました:
1. 父との確執
- 「お前には経営者の器がない」という言葉
- 新しいアイデアを却下され続ける日々
- コミュニケーション不足による誤解の積み重ね
私はふと、2010年の経営破綻時のことを思い出していました。50億円の負債を抱え、取引先や銀行から「お前に経営者の器はない」「死んで詫びろ!」と言われ続けた日々。その言葉は、まるで烙印のように心に焼き付いていました。
2. 社内での立場
- 「若旦那」という目線
- 中間管理職との年齢的な近さによる難しさ
- 従業員からの信頼獲得の壁
これは、私が再起を図った時にも直面した問題でした。一度失敗した経営者が、どうやって周囲の信頼を取り戻すのか。その時の必死の思いが、中村さんの悩みと重なって見えました。
3. 自己否定の渦
- 「私がやると会社を潰してしまうかも」
- 「父のようにはなれない」
- 「逃げ出したい」という気持ちと罪悪感
2010年、私は実際に「会社を潰してしまった」経営者でした。夜中に誰もいないオフィスで、「もう終わりだ」と泣いていた時期もありました。だからこそ、中村さんの恐れが痛いほどわかるんです。
TherActionでの取り組み
Healフェーズ(2ヶ月)
最初に取り組んだのは、中村さんの心の重荷を軽くすることでした。
印象的だったのは、EFTセッションでの出来事。
「父の口癖だった『お前には無理だ』という言葉を思い出すたびに、胸が締め付けられるんです」
私は自分の再起の時のことを思い出していました。大腸がんを患い、すべてを失いかけた時、ある医師から言われた言葉。
「堂本さん、経営の失敗は、あなたの全てじゃないでしょう?」
この言葉が、私の人生を変えました。だから中村さんにも、同じように問いかけてみました。
「あなたは経営者として、何がしたいんですか? お父様の経営とは違う、あなただけの道があるはずです」
Discoverフェーズ(2ヶ月)
ここで、重要な発見がありました。
価値観カードを使ったワークで、中村さんが選んだのは:
- 「革新」
- 「継承」
- 「信頼」
「あれ…?」と中村さんが目を丸くした瞬間がありました。
「革新と継承…、相反するように見えて、実は両方とも自分の中にあるんですね」
私自身、再起を果たす過程で気づいたことがありました。「過去を否定するのではなく、そこに新しい価値を加える」という考え方です。私の場合は、経営の失敗という過去を、人を支援する力に変えることができました。
中村さんの場合も同じでした。伝統を守りながら、新しい価値を生み出していく。その気づきが、大きな転換点となりました。
Actフェーズ(3ヶ月)
ここからが本当の勝負でした。私は自分の再建時の経験を踏まえ、以下のステップを提案しました:
- まず、父との対話から
- 週1回の「経営会議」を設定
- 会社の歴史や苦労話を聞く時間を作る
- 新規事業のプレゼンテーション
- 社内での信頼構築
- 現場での作業体験
- 従業員との1on1ミーティング
- 若手社員との勉強会立ち上げ
- 新規事業の準備
- 既存技術を活かしたIoT展開
- 産学連携プロジェクトの始動
- 新規取引先の開拓
特に印象的だったのは、中村さんが父との対話を重ねる中で見せた変化です。私自身、母との関係修復に何年もかけた経験から、家族との和解には「小さな一歩の積み重ね」が必要だと知っています。
大きな転機
Actフェーズも2ヶ月が過ぎた頃、中村さんから嬉しい報告がありました。
「父と二人で、新規事業の展示会に行ってきたんです」
そこで中村さんは、父の意外な一面を見ることになります。
「息子が考えた新しい方向性について、取引先に誇らしげに説明している父の姿を見て…。胸が熱くなりました」
この話を聞いた時、私は思わず涙が出そうになりました。かつて母を施設に置き去りにした私が、何年もかけて和解できた時の感動が蘇ってきたからです。
現在の中村さん
あれから1年。中村さんの会社は、着実に変化を遂げています:
- 従来の町工場としての基盤は維持
- IoT技術を組み込んだ新製品の開発
- 若手エンジニアの採用増加
- 売上20%アップを達成
先日、中村さんからメッセージをもらいました:
「堂本さん、今日、父から『お前なりの経営でいいんだ』って言われました。この言葉を聞けるまでに、本当に長い道のりでしたね」
これを読んで、私は自分自身の変化にも気づかされました。かつて経営破綻で全てを失った時、私は「二度と同じ失敗は繰り返さない」と誓いました。そして今、中村さんのような方々と関わる中で、その失敗さえも大切な経験として活かせることを実感しています。
なぜ変われたのか?
中村さんの成功の鍵は、3つありました:
- 「継承か革新か」という二択思考からの解放
- 自分らしさと会社の伝統の融合
- 小さな成功体験の積み重ね
そして、私自身も中村さんから多くを学びました。
特に、「伝統を守ること」と「革新を起こすこと」は、決して相反するものではないという気づき。
これは、私のカウンセリングアプローチにも新しい視点をもたらしてくれました。
あなたへのメッセージ
事業継承の重圧は、想像以上に重いものです。
私自身、経営者として何度も壁にぶつかり、一度は全てを失いました。
でも、だからこそ断言できます。
必ず道は開けると。
どんな苦しい状況でも、それを乗り越えた先に、新しい可能性が待っています。
私自身がその証明であり、中村さんもまたその証です。
「このままじゃいけない」
「変わりたい」
そう感じているなら、まずはその思いを聴かせてください。
きっと、あなたらしい経営の形が見つかるはずです。
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