「私なんかが…起業なんて…」
TherActionに来られた当初のDさん(34歳)は、そう何度もつぶやいていました。
幼少期からの過度な否定体験により、強い自己否定感を抱えていたDさん。
会社員として真面目に働いていましたが、「いつか自分の店を」という夢を、誰にも言えずに押し殺していました。
今日は、そんなDさんが自分の価値に気づき、念願の起業を実現するまでの物語をお伝えします。
初回セッション:深い傷との出会い
「小さい頃から、何をやってもダメだと言われ続けて…」
Dさんの目から、静かに涙が流れ始めました。
幼少期、両親からの過度な期待と叱責。
学生時代の厳しいいじめ体験。
そして新入社員時代のパワハラ。
これらの経験が、Dさんの中に「私には価値がない」という強い思い込みを作り上げていました。
Healフェーズ:安全な場所での解放
「今日は、このEFTという手法を試してみましょうか」
Dさんの緊張した表情を見て、私は思い出していました。大腸がんを経験した後、同じように体と心が強張っていた自分を。
「ここは安全な場所です。どんな感情が出てきても大丈夫」
まずは、”蓋”を外すところから始めました。
指先でツボを優しく叩きながら、Dさんは少しずつ声を出し始めます。
「私は…私は…」
「ダメな人間なんかじゃ…ない…」
その言葉を発した瞬間、Dさんの目から大粒の涙が溢れ出しました。
20年以上も押し殺してきた感情が、まるでダムが決壊するように流れ出します。
「小学校の図工の時間、粘土細工で作った小さなケーキ。先生が『素敵ね』って褒めてくれて。でも家に持って帰ったら、『こんなの作って何になるの?』って…」
震える声で語るDさん。その痛みが、私にもひしひしと伝わってきます。
3回目のセッション。いつものように感情解放のワークを始めようとした時です。
「実は…お菓子作りが好きで…」
その言葉は、ほとんど聞き取れないくらいの小さな声でした。でも、その瞬間のDさんの表情が、今でも鮮明に記憶に残っています。
まるで、長年閉ざされていた扉が、小さく、でもはっきりと開いた瞬間のような。
「いつも、失敗するんじゃないかって怖くて。でも、生地をこねてる時だけは、なんだか心が落ち着くんです」
その言葉に、私は確信めいたものを感じました。
これこそが、Dさんの中に眠っていた本当の「好き」という感情。
長年の自己否定の下に埋もれていた、純粋な喜びだったのです。
Discoverフェーズ:才能との出会い
「では、このカードの中から、直感的に惹かれるものを選んでみてください」
TherActionオリジナルの価値観カードを、Dさんの前に広げました。
最初は躊躇していたDさんですが、だんだんと手が動き始めます。
「なんか…この『創造性』っていうカード、私には似合わないと思うんですけど…でも、なぜか気になって…」
そこから、驚くような発見が次々と明らかになっていきました。
「実は、レシピ通りじゃなくて、いつも少しずつアレンジを加えてるんです。失敗も多いんですけど…」
(=創造性・チャレンジ精神)
「材料を測るとき、なんとなく『これくらいかな』って感覚で入れることが多くて…」
(=直感的な判断力)
「お菓子作りの手順って、実は頭の中で完璧に組み立ててから始めるんです」
(=計画性・論理的思考)
「友達に『美味しい』って言ってもらえると、なんか涙が出そうになって…」
(=他者貢献への喜び)
一つ一つの言葉を紡ぎ出すたびに、Dさんの表情が明るくなっていきます。
「Dさん、気づいていますか?今おっしゃったことすべてが、一流のパティシエに必要な才能なんですよ」
私のその言葉に、Dさんは思わず目を丸くしました。
「え?私が…才能…ですか?」
その声は、半信半疑でありながらも、どこか希望に満ちていました。
「そうです。しかも、これだけの要素が自然に身についているというのは、並々ならぬ情熱の証だと思います」
私にはよく分かりました。なぜなら、事業を何度も立ち上げてきた経験から、「才能」とは決して一朝一夕には身につかないことを知っているからです。
Dさんの中で眠っていたものは、まさに情熱と才能の結晶だったのです。
Actフェーズ:小さな一歩から
まずは「週末だけのお菓子作り」から始めました。
- SNSでの発信(1日1投稿)
- 友人へのお裾分け
- 小規模なマルシェへの出店
徐々に反応が集まり始め、リピーターまで付き始めたとき。
Dさんの目が、確かな自信を帯びていました。
決断の時:起業という選択
8ヶ月目のセッション。
いつものように穏やかな午後の日差しが差し込むカウンセリングルーム。Dさんの表情には、いつもと違う決意のようなものが見えました。
「堂本さん…言いたいことがあります」
その声には、もう以前のような迷いはありませんでした。
「やってみたいんです。自分のお店を」
私は思わず、背筋が伸びるのを感じました。
起業という決断の重みを、私は身をもって知っています。成功の喜びも、失敗の痛みも。
「どんな思いで、その決断に至ったんですか?」
「先日、マルシェで私のケーキを買ってくださったお客様が、『このケーキ、私の亡くなった母が作ってくれたケーキの味に似てるんです』って泣きながら言ってくださって…」
Dさんの目が、确かな光を帯びていきます。
「そのとき思ったんです。私のお菓子には、誰かの心に届く何かがある。もう、自分を疑う必要はないんだって」
私は深く頷きました。
かつて私も、TherActionを立ち上げる決意をしたとき、同じような確信を得た経験があります。
「でも…」
そこで少し言葉を詰まらせるDさん。
「失敗が怖くないと言えば嘘になります。でも、今の私には『怖いけどやってみたい』という気持ちのほうが、ずっと大きいんです」
その言葉に、私は心から感動を覚えました。
これこそが、本当の意味での「成長」なのだと。
開店までの道のり:一歩一歩の実践
決意表明から実現までの道のりは、決して平坦ではありませんでした。
1. 事業計画の作成
「赤字になったらどうしよう…」
事業計画を立てる段階で、Dさんの不安が再び頭をもたげます。
でも今度は違いました。
不安に飲み込まれるのではなく、その不安と向き合い、一つ一つ対策を練っていく。
「まずは最小限の設備から始めて、お客様の反応を見ながら徐々に拡大していく」
「SNSでの告知を活用して、広告費を抑える」
「差別化できる商品を3つに絞って、そこから始める」
私は思わず、自分が過去に経験した事業立ち上げの記憶と重ね合わせていました。
2. 資金調達の挑戦
「融資の審査、通るでしょうか…」
銀行での面談を前に、またしても不安に揺れるDさん。
でも、それも当然です。誰でも最初は不安なのです。
「私も何度も融資を受けてきました。大切なのは、『なぜこの事業をやりたいのか』という想いを、しっかり伝えること」
その言葉を胸に、Dさんは銀行との面談に臨みました。
「お客様の心に届くお菓子を作りたい。そのために、こだわりの材料と手作りにこだわって…」
その真摯な想いが審査担当者の心を動かし、見事融資は通過。
3. 物件探しと内装デザイン
「この物件、家賃は安いんですけど、人通りが…」
「この場所は駅から近いけど、予算オーバーで…」
物件探しは、まさに妥協との戦いでした。
「完璧な物件なんてありません。大切なのは、与えられた条件の中でベストを尽くすこと」
私の経験からの助言に、Dさんは何度も頷きました。
そして最終的に選んだのは、駅からは少し離れているものの、住宅街の中にある物件。
家賃を抑えられる代わりに、SNSでの情報発信を強化し、わざわざ足を運んでもらえるお店作りを目指す。
「この場所なら、子育て中のお母さんたちが、お散歩がてら立ち寄れる」
「近所にこだわりの野菜を作っている農家さんもいる」
Dさんの目は、すでに未来のお店の姿を見据えていました。
4. メニュー開発の日々
「毎日、寝る間も惜しんで新作の試作を…」
開店前の2ヶ月間、Dさんはほぼ毎日、新作のお菓子を作り続けました。
友人たちを試食モニターに招いては、率直な意見をもらう。
原価計算を何度も見直し、提供価格を調整する。
材料の仕入れルートを開拓し、取引条件を negotiateする。
その姿は、もはや以前の「自信のない私」ではありませんでした。
ついに開店!そして…
2024年4月15日、晴れ渡る春の日差しの中、「Petit Bonheur(プチ・ボヌール)」はその扉を開きました。
「お客様、来てくれるかな…」
開店前、小さな不安を漏らすDさん。
でも、その表情は穏やかでした。
開店初日の衝撃
開店時間の30分前、すでに行列ができていました。
SNSでの地道な情報発信が実を結び、オープン初日から予想以上の反響が。
「わぁ…可愛い!」
「インスタで見てたケーキ、実物の方が素敵!」
お客様の歓声に、Dさんの目には涙が光ります。
「今までの自分を否定してきた声が、お客様の笑顔で消されていくみたい」
その言葉に、私も深く共感しました。
予想外の試練
しかし、順風満帆だったわけではありません。
開店1ヶ月目、大きな失敗がありました。
地元情報誌の取材が入った日、緊張のあまり失敗を重ね、看板商品の「季節のタルト」が規定の数だけ作れない事態に。
「また私…ダメなんだ…」
一瞬、過去の自己否定が頭をもたげます。
でも、Dさんの対応は違いました。
「申し訳ありません。本日の『季節のタルト』は、品質を保つため数量限定とさせていただきます」
そして急遽、代替商品として新作の「プチガトー」を提供。
これが思いがけず好評で、後に定番商品となったのです。
「失敗も、次につながるチャンスなんですね」
その言葉に、私は強く頷きました。
事業というのは、まさにそういうものです。
半年後の今
開店から半年、嬉しい報告が次々と届いています。
売上は当初目標の1.5倍。
でも、それ以上に価値があるのは、次のような変化です:
- 近所のお母さんたちの憩いの場に
「子どもの運動会のお弁当の後のデザート、これに決まり!」 - 地域の他店舗とのコラボが実現
「隣の八百屋さんの旬の果物を使ったタルト、評判いいです!」 - お客様からの直接の感謝の言葉
「娘の結婚式の引き出物、みんなに喜んでもらえました」
でも何より印象的だったのは、先日Dさんが見せてくれた一枚の手紙。
お客様からの直筆でした。
「このケーキを食べると、心が温かくなります。いつも笑顔をありがとう」
その手紙を読み返しながら、Dさんはこうつぶやきました。
「私、やっと見つけたんです。自分の居場所を」
その瞬間、私は思わず、自分がTherActionを始めたときの感動を思い出していました。
印象的なエピソード
特に心に残っているのは、あるリピーターのお客様とのエピソード。
「実はね、私も昔、お店を開きたかったの。でも怖くて…。でもDさんのお店を見てたら、『私もチャレンジしてみようかな』って思えてきて」
その言葉を聞いたDさんの表情が、今でも忘れられません。
「私も、誰かの希望になれるんだ…」
その静かな喜びに満ちた表情。
まさに、これこそが本当の”成功”なのだと感じました。
この事例から学べること
この物語には、深い学びがあります。
1. トラウマは必ず癒せる
単なる「克服」ではありません。
むしろ、その痛みをエネルギーに変えることができるのです。
Dさんの場合:
- 過度な否定体験が、却って「お客様の気持ちに寄り添える感性」に
- 失敗への恐れが、「品質へのこだわり」という強みに
2. 誰にでも才能がある
それは、往々にして「当たり前すぎて気づいていない」ものです。
- 「ただの趣味」と思っていた情熱が、実は最大の才能
- 日常何気なくやっていることの中に、ビジネスの種が眠っている
3. 小さな一歩の積み重ねこそが、大きな変化を生む
一足飛びの成功はありません。
それは私自身、事業で何度も失敗して学んだことです。
Dさんの軌跡:
- まずは週末だけのお菓子作り
- SNSでの地道な発信
- 小規模マルシェでの出店
- 徐々に商品ラインナップを増やす
この「小さな積み重ね」が、結果的に強固な事業基盤を作りました。
4. “完璧”を目指さない勇気
これは特に重要です。
「準備が完璧になってから」
「すべての不安がなくなってから」
そんな時は、実は永遠に来ません。
大切なのは:
- 不安があっても一歩を踏み出す勇気
- 失敗を恐れない=失敗から学べる強さ
- 日々の小さな成功体験の積み重ね
あなたへの深いメッセージ
「私なんか…」
この言葉を、今この記事を読んでいるあなたも、心の中でつぶやいているかもしれません。
私は断言できます。
それは”真実”ではありません。
私自身、幾度となく地獄を見てきました。
児童養護施設、非行、事業の破綻、大病…。
その度に「もう終わりだ」と思いました。
でも、そのどん底の経験こそが、今のTherActionを生み出す原動力となりました。
Dさんもまた、長年の自己否定から、多くの人に喜びを届ける存在へと変化しました。
あなたの中にも必ず、輝く何かが眠っているはずです。
それは、あなたがまだ気づいていないだけなのです。
その一歩を、私たちと共に
もし今、
- 自分の可能性に半信半疑なあなた
- 夢はあるけど、一歩が踏み出せないあなた
- 過去の痛みに囚われているあなた
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