毎夜、私の机に届く書類の中に、倒産通知が混じっている。一つの灯火が消えた瞬間だ。そこに集った人々の情熱とエネルギーの集合体が、ある日突然、息を引き取る。
私はその死亡診断書を読むたび、同じ言葉に行き着く。
「呼吸が止まったのだ」
会社にとっての「呼吸」とは何か。それは「販売」という行為だ。
売れない会社の真実
表面上の理由は多様だ。「市場が縮小した」「競合が強い」「資金が足りない」…
しかし、真実はもっと深いところにある。多くの企業の息の根を止めるのは、創業者が抱える見えない「心の壁」だ。その名は「販売アレルギー」。
なぜ、人は自分の情熱をかけた製品やサービスを売ることに、微妙な嫌悪感を抱くのか。
心の奥に潜む「販売への抵抗」
ある製造業の社長は私にこう打ち明けた。
「優れた製品を作れば、自然と顧客は集まってくるはずだ」
彼はエンジニア出身で、技術に誇りを持っていた。しかし、その言葉の裏には見えない前提がある。
「販売行為は少し品がない」 「お願いするのは格好悪い」 「押し付けるのは恥ずかしい」
この見えない壁が、彼の会社の呼吸を浅くしていた。
無意識の「呪い」が会社を蝕む
組織というものは、頭の考え方が末端まで浸透する生き物だ。
経営者が「販売」に対して微妙な罪悪感を持っていれば、その空気は社内に充満する。言葉にはしなくても、無言のメッセージは確実に伝わる。
「売り込むのは少し品がないことだ」 「お客様に迷惑をかけないように」 「押しつけるような真似はするな」
このような無意識の「呪い」が会社の細胞一つひとつに浸透すると、組織全体が「販売アレルギー」を発症する。
「呼吸」を深くするための処方箋
私はある苦境の会社の社長室に呼ばれたとき、最初にこう尋ねた。
「あなたは過去一週間、何回、直接お客様に商品を勧めましたか?」
彼は言葉に詰まった。「それは営業部の仕事であって…」
私は言った。「あなたが販売を嫌っていては、この会社は息ができない」
会社を立て直すために私が提案した処方箋は以下だった:
- 社長自ら週に3件の新規顧客に接触する
- 営業会議で社長自身が成約事例を報告する
- 自社製品・サービスを誇りを持って語る場を増やす
「販売」は生命活動そのもの
自然界を見渡せば明らかだ。生命活動の本質は「交換」にある。植物は酸素を「提供」し、動物は二酸化炭素を「提供する」。血液は酸素を「運び」、細胞は老廃物を「排出する」。
これらの交換が止まれば、生命は終わる。
会社も同じだ。価値を生み出し、その価値を顧客に「届ける」という呼吸が止まった瞬間、その組織は死に向かい始める。
「販売者」としての誇り
本当の経営者とは、価値の「創造者」であると同時に「伝道者」でなければならない。
自らが創り出した価値を、必要としている人々に届けることを恥じない。むしろそれを誇りに思う。
お客様が抱える問題を解決できる製品やサービスを持っているのに、それを積極的に伝えないことこそ、本当の「不誠実」ではないだろうか。
明日からの具体的行動
あなたの会社の呼吸が浅くなっていると感じるなら、まず自分自身の心の壁を見つめ直そう。
そして、明日から:
- 一日に一人、直接顧客と会話する時間を作る
- 社内会議で「売上」の話題を増やす
- 自社の価値を誇りを持って語る練習をする
会社の命を吹き込めるのは、創業者であり経営者であるあなただけだ。
「販売」を恐れない者だけが、真の経営者と呼べる。
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