「このプロジェクトは絶対に成功する」
「うちの商品なら売れるに決まっている」
「あの人は信頼できるから大丈夫」
こうした”絶対の確信”を持ちながら、結局は地獄を見た経験はないだろうか?
俺は何度も見てきた。それも最悪のタイミングで。
「盲信」という名の落とし穴
32歳の時、携帯ストラップ事業で月商1,250万円を叩き出した俺は、自分の判断力に絶対の自信を持っていた。「この目利きがあれば、次はもっと儲かる」。そう思い込み、新作ストラップ120種類の金型を一気に発注。総額650万円だ。
経理担当が「少し様子見ては…」と言ってきたとき、俺はこう言い放った。
「黙ってろ。この波に乗らないと大損するんだぞ」
初月は計画通りの1,650万円。だが2ヶ月目に前月比30%減、3ヶ月目には50%減。韓国製の激安競合品が市場を席巻し始めたのだ。
気づいたときには手遅れ。在庫は1,200万円分、資金繰り表は真っ赤。4ヶ月後には銀行から「これ以上の融資は難しい」と言われ、自宅に差し押さえの書類が届いた日、妻は荷物をまとめて出て行った。
「子どもを実家に連れて行く。あなたはどうするか決めて」
俺の中の「絶対に成功する」という盲信が、家族まで奪ったのだ。
地獄からの帰還——”盲信リスト”との出会い
あれから10年以上が経った48歳の夜。200億円企業に成長させた第二の会社が、知的財産権侵害で50億円の罰金判決。またしても俺は暗闇の底にいた。
「もうダメだ…」
そう思いながらオフィスで過ごした深夜3時。目の前のPCに映るのは「残高12万3,842円」という数字。翌日の支払いは33万7,500円。
もうどうしようもない——そう思った瞬間、ふと思いついたのは「なぜ俺はまた同じ過ちを?」という疑問だった。
震える手でコーヒーのシミがついた裏紙にボールペンで書き出してみた。
【俺が無条件に信じてること】
・これだけ実績を出した俺なら、次も絶対成功する
・この調子なら月商800万円は堅い(根拠:直感)
・どんなに苦しくても、融資は絶対通る
・バイヤーは今後も同じ発注量を維持する
・競合の動きなんて気にしなくていい
・なんとかなるだろ(いつもそうだったから)
書き出した瞬間、ゾッとした。「何の根拠もねえじゃねえか…」
この紙がきっかけだった。後に俺は「盲信リスト」と名付け、苦境に立つ度に書き出す習慣をつけた。そして翌朝、恥を捨ててスタッフ全員に真実を打ち明けた。「会社に12万しかない。明日の支払いに33万必要だ」と。
“盲信リスト”の破壊力
「盲信リスト」は、誰にでも作れる超シンプルなツールだ。
やり方はこうだ:
- 紙を用意し、「俺/私が絶対に正しいと思ってること」と書く
- 以下を正直に書き出す:
- 「これは確実だ」と思い込んでること
- 「100%うまくいく」と信じてること
- データよりも「経験」や「勘」を優先してること
- 誰かに「それ危なくない?」と言われても無視してること
- 書いたら、それぞれに「マジでか?証拠は?」と自問する
- できれば仲間や家族に見せて、「ここおかしくね?」と指摘してもらう
これだけだ。たったこれだけのことが、倒産寸前の会社を救った。
俺の”盲信リスト”がもたらした地獄と天国
あの深夜に書き出した盲信リストを、次の朝、スタッフ全員に見せた。7人の前で声が震えた。
「俺がこんな根拠のない自信だけで会社を運営してた。今、口座には12万3,842円しかない。もう…ごめん」
一瞬の沈黙の後、営業のリーダーが立ち上がった。
「社長、やっと本音言ってくれましたね。実は俺たち、薄々気づいてたんです。でも言い出せなかった。今日から一緒に立て直しましょう」
その日から、全てが変わった。
変わったことTOP3:
- 嘘をつくのをやめた
- 「必ず来月は回復します!」という根拠なしの約束はやめた
- 代わりに「現状はこうだが、ここを改善したい」と正直に話すようになった
- 小さく試すクセがついた
- いきなり全力投球せず、まず12万円だけでSNS広告テスト
- 売れなかったらすぐ撤退できる「撤退ライン」(売上57万円以下なら撤退)を設定
- チームの結束が固まった
- 「疑う力」を持つ人が発言しやすい雰囲気に
- 「社長、それは本当に大丈夫ですか?」と言える関係性
この変化から3ヶ月で、会社は急回復。月商1,450万円、利益率27%という健全な状態を取り戻した。
なぜこんな”紙切れ”が効くのか?
簡単な話だ。人間は「見えない敵」とは戦えない。「盲信」という見えない敵を、紙に書いて”見える化”することで、初めて戦えるようになる。
俺自身、「俺は天才経営者だ」「俺のセンスは特別だ」という思い込みを紙に書き出して初めて、その馬鹿らしさに気づいた。恥ずかしいが、事実だ。
そして最も重要なのは「恥を捨てる」こと。日本人特有の「恥の文化」が、問題を隠し、悪化させる。盲信リストを人前で共有する行為は、その呪縛を解く。
今すぐできる”盲信リスト”実践法
- とにかく書き出せ:今すぐA4紙を取り出して書け。時間はかかるが、浮かんできた「これは絶対だ」という思い込みを片っ端から書き出せ。
- 共有しろ:一番怖いのはここだ。でも、この「恥ずかしい」を超えたとき、全てが変わる。親友、同僚、家族…誰でもいい、見せろ。
- 「本当にそうか?」と問いかけろ:書き出した各項目に「証拠は?」「確率は?」「最悪のケースは?」と自問しろ。
- 毎週続けろ:月曜の朝一番、30分でいい。これを習慣にしろ。
血まみれの経営者から一言
俺は3度の大失敗を経験した。携帯ストラップ事業の倒産、海外事業での50億円罰金、そして大腸がんのステージ3b診断。
どれも「俺は大丈夫だ」という盲信が招いた結果だった。
今、あなたがどん底にいるなら、まずは紙とペンを取れ。「俺/私が絶対だと思っていること」を書き出せ。それがすべての始まりだ。
あの夜、残高12万3,842円で絶望していた俺が、”盲信リスト”という紙切れひとつで人生を変えられたのだから、あなたにもできる。
「疑う勇気」と「信じる力」、この二つがあれば、何度でも立ち上がれる。それが「再起力」だ。
俺の血と涙から生まれた方法を、ぜひ試してくれ。
この「盲信リスト」は、私の著書『再起力 ―― どん底から何度でも這い上がる「疑信一体」の思考法』で紹介している「疑信一体」メソッドの一部です。他にも「疑信会議」「撤退ライン設定」など、再起を支える具体的な手法を紹介しています。
どん底にいる今こそ、行動を起こす時です。俺と一緒に、再起への一歩を踏み出しましょう。
再起への第一歩を今すぐ踏み出そう
もし今、あなたが経営の危機に直面しているなら、一人で抱え込まず行動を起こしてください。
「盲信リスト」はその最初の一歩にすぎません。
【無料相談受付中】
- 日時:毎週水曜日 13:00〜17:00(先着3名・各60分)
- 形式:オンライン
- 内容:あなたの状況をヒアリングし、具体的な「再起プラン」を一緒に考えます
「恥ずかしい」「どうせ無理だ」と思わずに行動してください。私も何度も転んで、何度も這い上がってきました。あなたの再起を心から応援しています。
お申し込み・お問い合わせ
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電話:070-9226-2348(平日10:00〜18:00)