社会に出るときに壁が多すぎる——元施設児童の視点から

「なんで、おかんは私を置いていったんやろう」

7歳の私は、児童養護施設の二段ベッドで、毎晩のようにそう考えていました。

3年後、おかんは私を引き取りに来ました。でも、その3年間の経験は、私の人生に深い影を落とすことになります。

今日は、私自身の短い施設生活の経験と、その後支援する立場として見てきた現実から、施設で育つ子どもたちが直面する課題について、率直にお話ししたいと思います。

目次

施設という場所で見たもの

私の施設生活は3年間。
それは短い期間だったかもしれません。

でも、そこで出会った仲間たちの姿は、今でも鮮明に覚えています。

「高校に行きたいけど、お金がない」
「就職したいけど、身元引受人がいない」
「もう来年で18歳なのに、これからどうしよう」

年長の子たちの会話を、私は子供ながらに不安を感じながら聞いていました。

退所後の生活から見えてきた現実

10歳でおかんが引き取りに来たとき、私は複雑な思いを抱えていました。

「やっと迎えに来てくれた」という喜びと、
「なんで3年も放っておいたんだ」という怒り。

そして何より、施設に残る仲間たちへの切ない思い。

その後の人生で、私は様々な挫折と再起を経験しました。
その度に思い出すのは、あの施設で出会った仲間たちの姿です。

現在、施設退所者が直面する具体的な壁

1. 経済的な壁

私の知る限り、多くの施設退所者が以下のような課題に直面しています:

  • 進学資金の確保
  • 生活費の工面
  • 緊急時の蓄えのなさ

2. 心理的な壁

私自身も経験した心の傷:

  • 「見捨てられた」という深い喪失感
  • 自己肯定感の低さ
  • 他者への基本的信頼の揺らぎ

3. 社会的な壁

支援の現場で日々感じること:

  • 施設出身というレッテル
  • 保証人問題
  • 就職時の不利益

私が考える解決への道筋

1. 切れ目のない支援体制

  • 18歳以降も続く経済的支援
  • 段階的な自立プログラム
  • メンターシップの導入

2. 心理的サポート

私自身の経験から特に重要だと感じるもの:

  • 継続的なカウンセリング
  • 仲間との交流機会
  • 相談できる大人の存在

3. 社会の理解促進

現在、TherActionで取り組んでいること:

  • 企業向け啓発活動
  • メディアへの情報発信
  • 支援ネットワークの構築

希望の光

私は3年という短い施設生活でしたが、その経験は私に大きな使命を与えてくれました。

今、TherActionを通じて施設退所者の支援に関わる中で、嬉しい変化も見えてきています:

  1. 企業の理解促進
  • 採用枠の設定
  • 住宅支援の提供
  • 継続的なサポート体制
  1. 支援の多様化
  • 奨学金制度の充実
  • 住宅支援の拡大
  • 就労支援プログラムの発展

私からのメッセージ

施設で育つ子どもたち、そして施設を巣立っていく若者たちへ。

私は3年間という短い施設生活でしたが、その経験は決して無駄ではありませんでした。
むしろ、その経験があったからこそ、今、皆さんの気持ちに寄り添える仕事ができているのだと思います。

どんな環境で育っても、必ず未来は開けます。
その証として、私たちTherActionは、いつでもあなたの味方でありたいと思っています。

具体的なアクションのために

TherActionでは、以下のような支援プログラムを提供しています:

  • 心理面でのサポート
  • 就職支援
  • 生活相談

▶ まずは相談してみたい方へ

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