―「We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen.」が生む究極のホスピタリティ
高級ホテルの代名詞といえばリッツ・カールトン。その名前を耳にしただけで、多くの人が「ラグジュアリー」「最高のおもてなし」といったイメージを抱きます。けれども、そのブランドを支える仕組みは単なる豪華絢爛さだけではありません。「We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen.(私たちは紳士淑女に仕える紳士淑女である)」というクレドを筆頭に、“マグネティックコンセプト”とも言える圧倒的な引力が働いているのです。本記事では、リッツ・カールトンが提供する“体験価値”を深堀りし、その引力の正体に迫ります。
1. 「ラグジュアリー」と「親密さ」の両立が創る別次元の世界観
● “ゴールドスタンダード”がもたらす統一感
リッツ・カールトンの全ホテルで共有されているサービス基準「ゴールドスタンダード」には、
- クレド(信条)
- モットー
- 従業員向けサービス手順
といったルールが緻密にまとめられています。
なかでも有名なのが「We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen.」――従業員は紳士淑女としてふるまい、ゲストをも紳士淑女として尊重する、という考え方です。これが“ラグジュアリー”と“温かみ”のバランスをとり、どこに行ってもリッツ・カールトンらしい一貫した体験を提供する要となっています。
● 極上の非日常体験と“家にいるような落ち着き”
リッツ・カールトンは高級ホテルらしい重厚感や華やかさを備えつつ、ゲストが心からリラックスできる心地よさを演出します。インテリアや館内の香り、スタッフの言葉遣い、そしてさりげない気配り――そのすべてが、ただ眺めるだけでなく“その場にいるだけで誇りを感じる”ような空間づくりを徹底しているのです。
2. “従業員 empowerment”が生む、瞬時の“感動体験”
● 従業員一人ひとりが“ホスピタリティの主人公”
リッツ・カールトンでは、有名な「従業員一人ひとりに最大2000ドルの裁量が与えられている」という話があります。これは、“ゲストを喜ばせるための判断”であれば、上司にいちいち許可を取らなくても良いという方針の象徴的な例です。
- 現場でのアクションが迅速に行われる
食事の希望や体調不良への手配、思わぬトラブル対応など、従業員がその場の判断でゲストの問題を解決できるため、“期待を超えるサービス”につながりやすいのです。
● “感動の共有”でスタッフ同士も高いモチベーションを維持
リッツ・カールトンでは毎朝15分間ほど“デイリーラインナップ”と呼ばれる朝礼を実施し、前日の感動エピソードを共有する文化があります。たとえば、あるゲストの誕生日を祝うためにスタッフが自主的にケーキを準備したなど、小さな事例でも広く共有。これが“私たちならさらに良いことができるはず”という意識を高め、結果的にゲストの体験向上へとつながっていくのです。
3. “隠れたニーズ”までも汲み取る徹底した顧客理解
● “ゲストの情報”を積極的に蓄積するシステム
リッツ・カールトンでは、繰り返し利用するゲストの好みや過去のリクエストを徹底的に記録し、次回以降の滞在に反映します。
- 部屋の温度設定
- 枕の硬さ・リネンの好み
- 飲食のアレルギーや好き嫌い
こうした細かなデータが、世界のどのリッツ・カールトンに宿泊しても共有されるため、ゲストは“毎回あたかも自分専用のホテルのように”心地よい時間を過ごせるのです。
● お客様に気付かせないレベルの先回り
たとえばゲストが落とした荷物を、ゲストの希望を待たずに素早く拾って持ってきたり、雨の日にはロビーに着いた瞬間にタオルを差し出すなど、“相手が口に出す前に行動”する接客がリッツ・カールトン流。その“さりげない先回り”こそ、“自分は特別扱いされている”という幸福感をもたらします。
4. 高度な標準化と地域ごとの“独自性”を両立する手法
● 世界中のリッツ・カールトンで統一される“基本サービス水準”
ゴールドスタンダードに基づいた共通マニュアルがあることで、どの国・地域のリッツ・カールトンでも一定レベル以上の洗練されたサービスが期待できます。これは、**“リッツ・カールトンらしさ”**を崩さずにブランドを保つための肝と言えるでしょう。
● ローカル文化の体験を重視したプログラム
一方で、各ホテルは地元の文化や食材を活かした独自のアクティビティやメニューを展開しています。たとえば、ハワイのリッツ・カールトンではフラダンス教室やコナコーヒーのテイスティングがあったり、日本国内の店舗では和食や地元食材を取り入れた特別プランを提供するなど――世界基準と地域特性がうまく噛み合うことで、“ここでしか味わえないリッツ・カールトン”を実現しているのです。
5. “ラグジュアリーのその先”へ進む取り組み
● サステナビリティや社会貢献への意識
高級ホテルでありながら、リッツ・カールトンは地域社会や環境への配慮にも積極的。地域コミュニティとのコラボイベントや、ホテル内で使う消耗品の削減、フードロス対策などを推進しています。これらの取り組みは、ラグジュアリー=無駄づかいではなく、“豊かさと社会的責任を両立する”という先進的な姿勢を示しているのです。
● バケーションだけでなくリフレッシュやワーケーションの需要にも対応
最近は“仕事と旅を両立”するワーケーション需要や、長期滞在型の“リトリート”に特化したプログラムを強化。ゲストがただ宿泊して観光するだけでなく、“リッツ・カールトンを拠点に新たな生活や働き方を体験する”という選択肢を提示しています。
6. リッツ・カールトンに学ぶ“マグネティックコンセプト”のエッセンス
- 従業員が“主人公”として動ける仕組み
- 現場での判断を尊重し、ゲストの求める体験を瞬時につくりだす“empowerment”こそ、驚きと感動の源泉。
- 現場での判断を尊重し、ゲストの求める体験を瞬時につくりだす“empowerment”こそ、驚きと感動の源泉。
- “先回りの心遣い”を徹底し、特別感を演出
- ゲストが言葉にする前に行動する“隠れたニーズ”への対応が、“次もこのホテルに来たい”と思わせる最大の理由。
- ゲストが言葉にする前に行動する“隠れたニーズ”への対応が、“次もこのホテルに来たい”と思わせる最大の理由。
- “世界基準の高級感”と“地域特性”の両立
- ブランド統一の安心感と、その土地ならではの体験が融合するからこそ、“どこでもリッツ・カールトンらしい”と認知される。
- ブランド統一の安心感と、その土地ならではの体験が融合するからこそ、“どこでもリッツ・カールトンらしい”と認知される。
- 社会的責任と長期的視点を伴う“ラグジュアリー”
- サステナビリティやコミュニティ連携にも意欲的で、ゲスト・従業員・地域社会の三方良しを追求する姿勢が信用を深める。
次はあなたのビジネスに“リッツ・カールトン級の引力”を宿す番かもしれない
「高級ホテルだから、自分たちの業態には関係ない」と思うのは少し早いかもしれません。リッツ・カールトンの事例から学べることは、“徹底した顧客視点” と “従業員を信じる企業文化” が合わさると、ブランドそのものが強烈な“磁力”を放つようになる、という点ではないでしょうか。
- 従業員がお客様の満足を最優先に行動できる仕組みをつくる
- データ活用や事前準備で、顧客が口に出す前にニーズを把握する
- “ワンランク上の価値”と“ローカルな魅力”を融合させ、新鮮な体験を提供する
こうした要素を取り入れることで、どんな業態であってもリピーターを増やし、口コミによる集客を加速できるかもしれません。リッツ・カールトンが示す“マグネティックコンセプト”は、ラグジュアリー産業だけでなく、幅広いビジネスにも大きなヒントを与えてくれるでしょう。
「自社でリッツ・カールトンのような“究極のおもてなし”を目指すにはどうしたらいい?」
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大切なのは、“ゲストや顧客にどんな体験をしてほしいのか”を全員で共有し、そのための仕組みを整えること。リッツ・カールトンの成功事例が、あなたのビジネスを次のステージへと引き上げるきっかけとなるかもしれません。