岩田さん(39歳・男性)
「画面の中に、俺の全てがある」
そう信じていた時期がありました。
プロゲーマーとして、世界大会で優勝した瞬間の歓声が、今でも耳に残っています。
トロフィーを掲げた時の会場の熱気、チームメイトと抱き合った時の喜び。
あの頃は、ゲームこそが自分の人生だと、本気で思っていました。
でも、全ては一瞬で崩れ去りました。
右手の腱鞘炎。医者からの「このままでは選手生命が危ない」という宣告。
そして、チームからの解雇通告。
「もうプロとしては…」
その言葉を聞いた瞬間から、私の世界は急速に狭まっていきました。
最初は「練習して復帰すれば」と思っていました。でも、その”練習”が次第にエスカレート。
気づけば1日18時間以上をゲームに費やし、食事も、睡眠も、全ての生活リズムが崩れていきました。
「もう、外の世界なんて必要ない」
そう自分に言い聞かせ、部屋に引きこもる日々。
宅配ピザの空箱が積み重なり、カーテンは常に閉め切ったまま。スマホの着信も無視し続けました。
銀行残高が底をつき、親からの仕送りに頼る生活。
プロだった誇りは、ただの”ゲーム廃人”という現実に変わっていました。
「このままじゃ、本当に…」
そんな危機感の中で見つけたのが、TherActionでした。
正直、最初は懐疑的でした。
どうせまた「ゲームを辞めろ」って説教されるんだろうって。
古びた雑居ビルの一室。
汚い小上がりの上で、堂本さんは私の目をじっと見つめながら、意外な言葉を口にしました。
「ゲームにかけた時間は、決して無駄じゃないんや」
その目は、何かを見抜くように鋭く、でも不思議と温かい。
「俺もな、どん底ってやつを何度も味わってきた。裏社会でもがいて、会社も潰して、病気で死にかけて…」
淡々と語られる壮絶な半生。なのに、そこには妙な説得力がありました。
「だからこそ分かるんや。君の”逃げ場”がゲームだったように、俺にも”逃げ場”があった。
でも、その逃げ場が、いつか必ず”可能性”に変わる時が来る」
その言葉に、私は思わず身を乗り出していました。
なぜだろう………。今まで誰からも言われたことのない、この”リアル”な重み。
「君な、ゲームの世界で学んだことって、絶対に無駄やないねん。
チームで戦うこと、目標に向かって努力すること、勝敗を受け入れること…」
堂本さんは、床に散らばったカップ麺の空容器を見つめながら続けました。
「そういう経験は、誰にも負けへんやろ?それって、めっちゃ価値のあることやと思わへん?」
セッションを重ねる中で、少しずつ気づきました。
ゲームは私を破滅させた”敵”ではなく、むしろ新しい道を開く”鍵”になるかもしれないと。
「ゲームの世界で傷ついた若者たちの、君にしか分からない苦しみがあるはずや。
その痛みを知ってる君やからこそ、できることがあるんやないか?」
その言葉が、新たな扉を開いてくれました。
今、私はeスポーツ教育プログラムを運営しています。
不登校やひきこもりの若者たちに、ゲームを通じて居場所を提供する活動です。
「岩田さんみたいになりたい」
先日、あるプログラム参加者からそう言われた時は、思わず涙が込み上げてきました。
かつての自分のように、画面の中にしか居場所がないと感じている若者たちに新しい可能性を示せている。その実感が、何よりも嬉しかったんです。
「ゲームは決して無駄じゃない」
堂本さんが私に教えてくれたその言葉を、今度は私が若者たちに伝えています。
依存も、引きこもりも、決して恥ずべきことじゃない。
むしろ、その経験を通じて得た感覚が、誰かの希望になれる。
私はそう信じて、日々、若者たちと向き合っています。
***
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