失敗も、苦しみも、包み隠さずに書こうと思う
佐藤さんの叫び声を、今でも覚えています。
「もう無理です!ここで降ろしてください!」
都内某所の駅のホームで、私と一緒に電車に乗ろうとしていた時のことです。顔面蒼白で、全身が震え、額には大粒の汗。パニック障害特有の「死ぬかもしれない」という強烈な不安に襲われていました。
実はその日は、私も彼と同じくらい怖かった。
なぜなら、かつて大腸がんで心肺停止になった私には、「人の命を預かる」という重圧が堪えたからです。もし佐藤さんが駅でパニック発作を起こして倒れたら…そんな不安が頭をよぎりました。
でも、そこで諦めたら、佐藤さんの「世界」は広がらない。
「一緒に怖がろう」という選択
「佐藤さん、大丈夫です。私も一緒に怖がりますから」
震える彼の手を握りながら、私は提案しました。
「次の電車まで、ここで深呼吸しましょう。逃げ出すんじゃなく、自分のペースを作りましょう」
TherActionのHealフェーズでは、普通のカウンセリングとは少し違うアプローチを取ります。「克服」を急がず、まず「今の自分を受け入れる」ところから始めるんです。
佐藤さんの場合、発作が起きても「それも自分なんだ」と受け入れられるようになったとき、少しずつ変化が見え始めました。
思いがけない転機
面白いもので、佐藤さんが最初に乗れるようになったのは、実は電車じゃありませんでした。
Discoverフェーズで、彼の「本当にやりたいこと」を探っていく中で、実は「海外の建築を見たい」という情熱が隠れていたんです。その夢を語るとき、彼の目は輝いていました。
「じゃあ、まず飛行機の映像から見てみませんか?」
そう提案したところ、意外にも飛行機の映像には強い不安を感じないと言うのです。
「電車と違って、自分で降りられないから…逆に観念できるんですかね」
この発見が、大きな転換点になりました。
世界が、少しずつ広がっていく
Actフェーズでは、段階的に挑戦していきました:
- 始めは空港見学
- 国内線での短い飛行
- 友人と一緒のハワイ旅行
- ついに…一人での海外出張
「堂本さん、パリの建築、本当に美しかったです」
先日、佐藤さんからLINEが届きました。
添付された写真には、エッフェル塔を背景に、晴れやかな笑顔の彼が写っていました。
電車も、今では1時間程度なら乗れるようになりました。
たまに発作を感じることもあるそうですが、「それも自分の一部として」受け入れられるようになったと。
本気で書きます。希望は、必ずある
私は断言できます。
パニック障害は、決して「気の持ちよう」では済まない、本物の苦しみです。
でも、だからこそ、それを乗り越えた先にある景色は、かけがえのないものになる。
私自身、大腸がんで「もう終わりだ」と思った時期がありました。
でも、その経験が今、苦しむ人に寄り添う力になっている。
佐藤さんも同じです。今では、社内で不安障害に悩む後輩の相談に乗ることもあるそうです。
苦しみは、必ず誰かの希望になる。
もし、あなたも今「この先どうなるんだろう」と不安を感じているなら、
その気持ち、わかります。本当に、わかります。
だからこそ、一緒に一歩を踏み出しませんか?
まずは無料カウンセリングで、あなたのペースで、あなたの物語を聞かせてください。
きっと、あなたの「世界」も、もっともっと広がるはずですから。