今日は、重度のうつ状態から回復し、今は子どもたちの居場所づくりのNPOを運営している西野さん(45歳・男性/仮名)の再生の物語をお伝えします。
絶望の淵で
「もう、生きていても仕方ないかもしれません…」
西野さんが初めて相談に来られた時、その目は完全に光を失っていました。
大手企業の管理職として活躍していた彼は、突然の部署統廃合で降格。それをきっかけに重度のうつ状態に陥り、2年間引きこもっていたそうです。
私には痛いほどわかりました。多額の負債を抱えて破綻し、その後大腸がんまで発症した時の絶望感。毎朝、目が覚めるたびに「なぜ、生きているのだろう」と問い続けた日々が、まざまざと蘇ってきました。
深い闇の正体
カウンセリングを重ねる中で、西野さんの抱える問題が見えてきました:
1. アイデンティティの喪失
- 「管理職」という立場への過度の同一化
- 降格による自己価値観の崩壊
- 「私は何者なのか」という根源的な問い
私自身、「成功した経営者」という仮面が剥がされた時、どれほど苦しかったか。その痛みが、西野さんの言葉一つ一つに響いていました。
2. 社会からの孤立
- 休職による人間関係の断絶
- 家族との会話の減少
- 外部との接点の消失
これは、私が大腸がんで入院していた時と同じ状況でした。誰にも会えない。誰とも話せない。その孤独が、心をどんどん蝕んでいくんです。
3. 将来への絶望
- 復職への不安
- 年齢的な焦り
- 経済的な重圧
TherActionでの取り組み
Healフェーズ(3ヶ月)
最初に取り組んだのは、西野さんの「生きる意味」を問い直すことでした。
印象的だったのは、あるセッションでの出来事。
「実は…休職中、近所の子どもたちと将棋を指すのが唯一の楽しみだったんです」
その時の西野さんの表情が、少し和らいだのを覚えています。
私は思わず、自分が大腸がんから回復する過程で出会った、ある看護師さんのことを思い出していました。「堂本さんの経験、きっと誰かの役に立つはずですよ」。その一言が、私の人生を変えたように。
Discoverフェーズ(3ヶ月)
ここで、重要な発見がありました。
価値観カードを使ったワークで、西野さんが選んだのは:
- 「つながり」
- 「育成」
- 「安全」
「子どもの頃、実は学童保育がなくて…。放課後、いつも一人で留守番してたんです」
その言葉をきっかけに、西野さんの中で何かが動き始めました。
Actフェーズ(4ヶ月)
ここからが本当の勝負でした。
- まず、小さな一歩から
- 地域の子ども食堂でボランティア
- 将棋教室の開催
- 保護者との対話
- NPO設立への準備
- 運営メンバーの募集
- 事業計画の策定
- 助成金の申請
- 活動拠点の確保
- 空き家のリノベーション
- 地域住民への説明会
- 安全管理体制の構築
私は、自分が事業を再建した時の経験を元に、具体的なアドバイスを提供しました。
「西野さん、ゼロから作るより、既存の活動に学ぶところから始めましょう」
大きな転機
Actフェーズも終盤、西野さんから感動的な報告がありました。
「ある男の子が『ここに来るのが楽しみなんだ』って。…私、泣きそうになりました」
私は思わず、自分がカウンセリングを始めた頃のことを思い出していました。誰かの人生に、小さな光を灯せた時の喜び。それは、お金では買えない価値があるんです。
現在の西野さん
NPO設立から1年。西野さんの活動は、着実に広がりを見せています:
- 平日の放課後プログラムに30名の子どもが参加
- 学習支援ボランティア10名を確保
- 地域の企業から毎月の寄付が決定
- 行政からの委託事業も開始
先日、西野さんからメールが届きました:
「堂本さん、今日、ふと気づいたんです。朝が楽しみになっている自分に。子どもたちの笑顔が、私の生きる意味になっていました」
なぜ変われたのか?
西野さんの再生の鍵は、3つありました:
- 「できない自分」から「できる自分」への視点の転換
- 過去の痛みを、誰かを救う力に変えられたこと
- 小さな成功体験の積み重ね
そして、私自身も西野さんから多くを学びました。
特に、「生きる意味」は、誰かのために生きることで見つかるということ。
これは、私のカウンセリングアプローチにも新しい気づきをもたらしてくれました。
あなたへのメッセージ
うつの闇は、想像以上に深いものです。
私自身、大腸がんと経営破綻で、何度も生きる意味を見失いかけました。
でも、だからこそ断言できます。
必ず、光は見えてくると。
どんなに暗い場所にいても、その先には必ず、あなたにしかできない使命が待っています。
その一歩を、一緒に踏み出してみませんか?
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