「親との和解」から「留学の夢」へ。清水さんの再出発物語

今日は、TherActionを通じて家族との関係を修復し、自分の夢を掴んだ清水さん(28歳・女性/仮名)のストーリーをお伝えしたいと思います。

目次

最初の相談

「親を憎みながら生きるのに疲れました…」

清水さんが初めて相談に来られたとき、その言葉が重たく響きました。

私には痛いほど分かる気持ちでした。児童養護施設で過ごした私自身、母への怒りと憎しみを抱えながら生きてきた経験があるからです。

清水さんの”しがらみ”

相談を重ねるうちに、清水さんの抱える問題が見えてきました:

1. 複雑な親子関係

  • 幼少期からの過干渉
  • 大学進学も親の意向で決定
  • 就職も「実家から通える会社」を強要
  • 毎週末の強制的な帰省

特に印象的だったのが、清水さんのこの言葉:
「子どもの頃から『あなたがいないと私は生きていけない』って言われ続けて…。今でも罪悪感なしには実家を離れられないんです」

2. 封印された夢

清水さんには、ずっと叶えたかった夢がありました。
「カナダで英語を学びながら、現地のNPOでボランティア活動がしたい」

でも、その夢を口にするたびに:
「また非現実的なことを…」
「親不孝者になりたいの?」
と言われ続け、次第に口にすることすらできなくなっていったそうです。

3. 心の奥底にある”氷”

  • 慢性的な頭痛・不眠
  • 些細なことで涙が出る
  • 将来への漠然とした不安
  • 理由のない罪悪感

心と体が、長年の抑圧を訴えていたんです。

TherActionでの取り組み

Healフェーズ(2ヶ月)

最初の課題は、清水さんの「罪悪感」の解放でした。

印象的だったのは、インナーチャイルドワークでの出来事。
幼い頃の自分と対話する中で、清水さんが涙ながらに語ってくれました。

「小学生の頃、友達の家に遊びに行くたびに『ママを見捨てて…』って言われて…。でも、私、悪いことしてないですよね…?」

このセッションを機に、少しずつ変化が現れ始めます:

  • 定期的なボディワーク
  • 感情日記の作成
  • 安全な場所のイメージワーク

Discoverフェーズ(2ヶ月目)

このフェーズでは、清水さんの「本当の望み」を掘り起こしていきました。

特に印象的だったのは、価値観カードを使ったワークでの出来事。「自由」「貢献」「学び」というカードを選んだ時、清水さんの表情が急に曇ったんです。

「これ…、高校生の頃に書いた日記と同じキーワードなんです。でも親に見つかって、『現実見なさい』って破られてしまって…」

私は思わず、自分が12歳で母を追い出した時のことを思い出していました。他人の期待に縛られることが、どれほど魂を蝕むか。身をもって知っているからこそ、この時の清水さんの痛みが胸に突き刺さりました。

具体的な取り組み

  • 「10年後の理想の1日」をビジュアライズ
  • カナダのNPO活動のリサーチ
  • 英語学習の再開(オンラインレッスン)

Actフェーズ(3-4ヶ月目)

ここからが本当の勝負でした。

まず、両親との関係を少しずつ「再設計」することから始めました:

  1. 帰省頻度を月1回に調整
  2. 平日の電話は夜8時までと決める
  3. 自分の予定を優先できる日を作る

最大の山場は、留学の意思を両親に伝えること。
その日のために、2週間かけて練習を重ねました。

決意の瞬間

「お母さん、お父さん。私、カナダに留学したいと思います」

Zoomを通して両親に告げる清水さんの声は、小さいながらもブレがありませんでした。

予想通り、最初は反対の嵐。でも、清水さんは準備してきた言葉を、一つ一つ丁寧に伝えていきました:

「たくさん心配をかけてごめんなさい。でも、このまま後悔を抱えて生きていくのは、もっと親孝行に反すると思うの」

「3ヶ月だけでも、チャレンジさせてください」

「毎週、必ずビデオ通話します」

そして、ついに両親から一つの言葉を引き出すことができました:
「3ヶ月だけよ…」

現在の清水さん

あれから4ヶ月。清水さんは今、カナダのバンクーバーで、子育て支援NPOでのボランティア活動をしながら、語学学校に通っています。

先日、オンラインで近況報告をしてくれました:
「堂本さん、信じられないかもしれませんが、今は週2回、両親とビデオ通話してるんです。むしろ前より会話が増えました(笑)」

そして、最後にこう付け加えてくれました:
「このまま3ヶ月で帰るのは、もったいない気がしてきました…」

なぜ変われたのか?

振り返ると、清水さんの変化には3つの重要な要素がありました:

  1. 罪悪感からの解放
  2. 自分の価値観の再発見
  3. 具体的な行動計画と練習

特に重要だったのは、「親との関係を壊す」のではなく、「新しい関係を作る」というアプローチでした。

あなたへのメッセージ

家族との関係は簡単には変えられません。私自身、母との関係を修復するのに何年もかかりました。

でも、だからこそ言えます。
必ず道は開けると。

もし今、家族との関係に悩みを抱えているなら、まずはその気持ちを聴かせてください。

きっと、あなたらしい解決方法が見つかるはずです。

【次回予告】「藤田さん(42歳女性)- DV被害から立ち直り、カウンセラーに」

目次